移民法・雇用法ニュース
B1短期商用ビザ 審査の厳密化(2012年5月17日発行第133号掲載)
観光や出張を目的に短期間アメリカに滞在する場合、日本など米国のビザ免除プログラムに加盟している国であれば、90日以内の短期滞在であればビザがなくても入国が認められます。ビザ免除で米国に入国するのに、以前は特別な手続きは必要ではありませんでしたが、2009年1月12日より、事前に渡航認証(ESTA)の取得が義務付けられるようになりました。ESTAはオンラインで申請でき、2012年2月には申請料14ドル支払わなければならなくなりました。ESTAは2年間有効ですが、2年以内にパスポートが失効する場合は、パスポートの有効期限日までの承認となります。なお、ビザ免除で入国した場合は、特定の場合を除き、通常は米国内で滞在資格の変更や延長はできません。
観光や出張を目的に90日以上アメリカに滞在する場合は、B−1短期商用ビザもしくはB−2観光ビザを申請することができます。B−2観光ビザは、旅行、友人や親族の訪問、治療、同窓会や社交、奉仕活動など娯楽や休養を目的とする渡航者を対象としています。ビザ免除プログラムやB−1商用目的として認められる活動には会議参加、契約交渉、短期研修、修理技術者、投機的事業調査、個人研究、などが挙げられますが、いずれもアメリカ国内で報酬を得てはなりません。
上記の活動の中でも、修理技術者をB−1ビザで米国に派遣する場合は、日本から米国企業に販売された機械・機器に関し、日本側がその設置・修理やサービスを提供する旨が購買契約に明記されていなければなりません。また、日本から派遣された社員は、米国滞在中も日本から給与を受け取ることが条件であり、米国で提供する技術サポート・サービスに対し米国を源泉とする報酬を受けることはできません。また、日本側企業はこれらのサービス提供に対し、当初の購買契約書に定められたもの以外の支払いを受けることはできません。また、商工業設備および機器の設営、運営、修理のために米国人の研修を行う場合もB−1ビザに該当しますが、この場合も報酬は日本の企業から支払われ、研修が行われることが売買契約書に明記されていなければなりません。
米国で催される展示会の展示ブースの設営、サンプルの陳列、契約書の署名、日本で製作・搬送される製品の受注を行う場合もB−1ビザを申請することができます。しかし、B−1ビザ所持者は米国で製造されたものを実際に販売したり受注することはできません。予定される活動がこれらの内容に正確に該当しない場合は一時就労ビザが必要となります。
しかしながら、最近ではB−1ビザの乱用が問題視されています。その例として、H1B就労ビザの年間申請枠や平均賃金の遵守を回避するために、上記のB−1商用ビザで入国させ、米国で就労を行わせながら、米国の平均賃金よりも低い賃金を本国から支給している雇用主が調査の対象となっています。そのために近年ではB−1ビザ審査が大変厳しくなっており、昨年度5月にはB−1の却下率が25%も増加した公館もあり、また、疑いのかかった大手企業5社に対してB−1ビザの申請が禁止されました。したがって、B−1ビザの申請を行うには、十分に証拠をそろえて申請したほうがよいでしょう。
B1/B2ビザでアメリカに入国した場合は、ビザ免除プログラムとは異なり、米国内で滞在資格延長や変更を申請することも可能ですが、入国後60日以内に滞在資格の変更申請を行うと、入国時に入国目的を偽ったと疑われる可能性があるので注意が必要です。観光・短期商用ビザはいずれも『移民の意志』を表すことが認められていないので、往復航空券や日本で生活を営んでいる証拠を提示できるよう準備する必要があります。また米国訪問終了後は日本に帰国する意志があること、また米国滞在に要する費用をまかなうための十分な資金があることを証明する必要があります。
執筆:大蔵 昌枝 弁護士
ベーカー・ドネルソン法律事務所
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